レンチウイルスベクター

レンチウイルスベクター用の高度な生物物理学的特性評価ソリューション

レンチウイルスベクターは、分裂細胞と非分裂細胞への遺伝物質送達に使用される強力なツールであり、細胞療法の創出において極めて大きな価値があります。そのペイロードを標的細胞に送り届けることで、慢性疾患や遺伝性疾患の治療に不可欠な治療遺伝子を組み込み、継続的に発現させることができます。

レンチウイルスベクターの品質を保証することは、治療の安全性を確保するために極めて重要です。レンチウイルスベクター特性評価には、粒子径、力価、純度などの重要なパラメータの測定が含まれます。これらのパラメータが正確に測定されることで、レンチウイルスの安定性がレポートされ、潜在的なリスクが最低限に抑えられます。

Malvern Panalyticalの高度な分析装置により、レンチウイルスベクターのサンプル純度と安定性を迅速かつ容易に評価し、物理的特性に関する詳細な洞察が得られます。

バイオ医薬品開発サポート よくありがちな悩み

レンチウイルスベクターの特性評価におけるZetasizer Advance Ultraの主な特長

Zetasizer Advance Ultraには、動的光散乱法(DLS)と多角度動的光散乱法(MADLS)技術を採用しています。レンチウイルスベクター特性評価における主な特長は次のとおりです。

  • 粒子径測定: DLSにより、レンチウイルス粒子がブラウン運動しているときの光散乱に基づいて粒子径を測定します。平均粒子径と多分散性を迅速かつ正確に評価します。
  • ウイルス力価: MADLSは、粒子径測定精度が高く、粒子濃度を測定できるので、レンチウイルス滴定の精密計算に役立ちます。
  • ゼータ電位: Zetasizer Advance Ultraは、ウイルスベクターのゼータ電位を評価します。これは、表面電荷と懸濁状態での安定性を示し、保存期間とin vivoでの挙動を予測するのに不可欠です。
  • 高感度:Zetasizer Advance Ultraは幅広い粒子径を高感度で検出できるので、レンチウイルスの製造と開発のさまざまな段階に適しています。

Zetasizer Advance Ultraは、粒子径と安定性に関する詳細な情報を提供してレンチウイルスベクター製剤を最適化することで、一貫した性能を確保し、製剤の安定性を正確に予測するのに役立ちます。

NanoSight Proでレンチウイルスベクターの特性を評価

NanoSight Pro

NanoSight Pro

NanoSight Proを使用した正確な粒子径測定と滴定分析

NanoSight Proは、高度なソフトウェアにサポートされたナノ粒子トラッキング(軌跡)解析(NTA)技術を利用して、懸濁液中のナノ粒子を特性評価します。レンチウイルスベクター特性評価における主な特長は次のとおりです。

  • 粒子径測定: NanoSight Proは、個々の粒子のブラウン運動をトラッキングすることにより、レンチウイルスの粒子径分布を正確に測定します。この詳細な粒子径分布測定と直接の視覚的確認は、レンチウイルス製剤の開発を最適化する上で重要な役割を果たし、サンプルの安定性と純度に関する貴重な洞察を提供します。
  • 濃度測定(滴定): NanoSight Proではウイルス粒子の数が1つずつ正確にカウントされるので、研究者はレンチウイルス濃度を直接計算できます。これにより、研究用途でも治療用途でも、堅牢な生産プロセスと均一な投与が保証されます。
  • 凝集検出: NanoSight Proでは、レンチウイルス粒子の凝集体を視覚化、同定、定量できます。凝集は、形質導入効率に影響し、免疫応答を誘発するため、レンチウイルス製造の品質管理に不可欠です。
  • 蛍光特性: 装置は、蛍光検出により標識された粒子と標識されていない粒子を区別できるので、複雑なサンプルでは特異性が高まります。これはレンチウイルスベクターが生体系と相互作用する仕組みを理解する上で極めて重要です。

NanoSight Proは、リアルタイムの視覚化と高分解能分析を実現することで、研究者がレンチウイルスベクターサンプルを包括的に理解できるようにします。

NanoSight ProとZetasizer Advance Ultraを使用する利点

NanoSight ProとZetasizer Advance Ultraの機能を組み合わせることで、レンチウイルスベクター特性評価に対するアプローチがより包括的になります。

[PN13720_NanoSightPro_Planar0017_AlMod.png] PN13720_NanoSightPro_Planar0017_AlMod.png
[ZSA_rest_position_v2_.png] ZSA_rest_position_v2_.png
機能NanoSight ProZetasizer Advance Ultra
測定粒子径、ウイルス力価、多分散性粒子径、ウイルス力価、多分散性、ゼータ電位
技術ナノ粒子トラッキング(軌跡)解析(NTA)動的光散乱法(DLS)と多角度DLS (MADLS)
サイズ範囲30~1000 nm<1 nm~10 μm
濃度範囲107~109粒子/mL108~1013粒子/mL
粒子径測定粒子を個別に測定して得られた粒子径分布を高分解能で提供流体力学の直径を迅速かつ正確に測定
多分散性の処理多分散性が高いサンプルの処理に優れ、迅速に目視確認が可能単分散サンプルや、やや多分散性があるサンプルに最適
ゼータ電位不可表面電荷と安定性を評価するためにゼータ電位を測定
蛍光特性特定の特性を持つ標識された粒子の区別に使用可能不可
視覚化粒子と挙動をリアルタイムに視覚化不可
データ出力数ベースの粒子径分布強度重み付け粒子径分布
サンプルの前処理極めて少ないサンプル調製で測定可能、完全性を維持非破壊かつ極めて少ないサンプル調製で測定可能
最適な用途多分散性が高いサンプルや希釈されたサンプルの詳細な分析小型の単分散ナノ粒子の迅速な特性評価

レンチウイルスベクター製剤開発の初期段階や凝集問題の調査、特定のサンプルの亜集団を確認するために蛍光を使用する場合など、詳細な粒子特性評価が必要な場合には、NanoSight Proの方が適しています。Zetasizer Advance Ultraは、ルーチンの品質管理、安定性試験、ゼータ電位の情報が必要な場合に適しています。 

両方の装置の長所を活用することで、レンチウイルスベクターについて研究者の理解が深まり、遺伝子治療用途における有効性と安全性の向上につながります。

関連リソース