従来のX線粉末回折の主なアプリケーションは、未知のサンプルに含まれる主成分および微量成分の単相または複相の同定です。
原子の規則的な3次元配列を含む相は結晶性固体です。 測定された回折ピークの位置と強度は、特定の結晶相の指紋のようなものです。
同定を遂行するにあたり、検索照合アルゴリズムを使用して、参照データベースのエントリと測定パターンを比較します。
これは結晶相定性分析とも呼ばれています。
最適化された測定配置
相同定は、粉末X線回折(XRDまたはXRPD)の最も重要なアプリケーションです。 XRPDは粉末サンプルだけでなく、多結晶固体、懸濁液、及び薄膜にも適用されます。
無機粉末サンプルは、従来型のBragg-Brentano反射配置で最もよく測定されます。 一方、有機材料(薬剤やポリマーなど)、液晶材料、及び懸濁液には、透過法配置が推奨されます。 薄膜の場合は、斜入射配置が最適です。
相同定が適用される一般的な例は以下のとおりです。
- 地質サンプル中の鉱物の同定: 相同定はサンプルの形成メカニズムの理解に役立つため、鉱石や燃料の存在に関する貴重な情報になる可能性があります。
- 鉱石や岩石の等級管理: 鉱床を探査するのに役立ちます。
- 結晶多形を検出し、特定物質の異なる相で同じ化学組成を有する物質を識別します。製薬業界にとって重要な課題です。
- 品質管理: 純粋相で不純物の存在を測定します。 最新のX線光学系と検出器では、0.1重量%までの不純物を検出できます。
- 可変温度または湿度などの環境変化での相転移を検出します。
- 法医学: 犯罪現場で見つかった痕跡の起源を判断する場合に、相同定が決定的要因になる可能性があります。
- ボイラーと発電所の腐食: 発見された相が、問題につながる条件や反応に関する貴重な情報になります。 間接的に、それらの相は腐食プロセスを防止したり最小化する方法のヒントになります。
- ナノ材料: 例えば、ナノチタニアのルチル相は、UV遮断用途(日焼け止め剤など)に必須ですが、光触媒活性ではアナターゼ相が必要です。
- ポリマーとプラスチック: 結晶相と結晶多形、及び溶加材をWAXS(広角X線散乱)により識別します。
- 液晶: サーモトロピック液晶相とリオトロピック液晶相(中間相)を識別します。 例えば、界面活性剤の低角度回折測定により同定します。
相同定のXRDソリューション
Malvern PanalyticalのEmpyrean X線回折システムは、試料水平ゴニオメータプラットフォームを備えており、粉末、薄膜、固体、及び懸濁液の相同定に適しています。 これらの多目的装置は、主に研究現場で使用されています。 ウェルプレート上の高スループット結晶多形スクリーニングもサポートしています。
Aeris ベンチトップ回折装置は直感的なユーザーインターフェース、クラス最高のデータ品質、高いサンプルスループットを備えており、工業、研究現場で粉末、バルクサンプルのルーチン分析に最適なツールです。
HighScore (Plus) は強力なソフトウェアパッケージで、複雑な相混合物でもピーク検索と簡単な相同定ができます。 HighScore (Plus)では、複数の参照データベースを同時に検索でき、自動化とレポート作成に関する多くのオプションが用意されています。 類似した相組成を有するサンプルをグループ化するクラスター分析もサポートしています。