アノード材料は、リチウムイオン電池に不可欠な部品で、エネルギー密度、寿命、安全性を決定するうえで重要な役割を果たしています。アノード材料は、リチウムイオン電池で良好な性能を得るために、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。
- 比容量が大きい: 効果的に多くのエネルギーを貯蔵するためには、材料の比容量(mAh/gで測定)が大きい必要があります。
- 良好な電子伝導性: 使用中のエネルギー損失を低減するには、高い導電性が必要です。
- 良好なイオン伝導性: 材料では、容易にリチウムイオンがアノードに出入りできる必要があります。
- 構造安定性: 効果的なアノード材料は、充電/放電サイクル中に構造を維持し、長期にわたり信頼性が保証される必要があります
当社のソリューション
アノード材料の種類
リチウムイオン電池は、さまざまなアノード材料を利用しており、それぞれが性能、容量、寿命に影響を与える異なる特性を持っています。以下に、リチウムイオン電池に使用される主なアノード材料の種類を示します。
- インターカレーション型アノード
インターカレーション型アノードは層状の材料で、層間にリチウムイオンを蓄積できます。
- グラファイトと炭素は、電気伝導性が高く、低コストで、リチウムイオンが可逆的にインターカレーションする安定した構造なため、最も広く使用されているアノード材料です。しかし、新しい材料に比べると容量が低い場合があります。硬質炭素はNaイオン電池のアノードとして使用されます。
- チタン酸リチウム(LTO)は、優れたサイクル安定性と安全性で知られており、LTOはリチウムの挿入および脱離中に大きな体積変化を受けません。しかし、他のアノード材料に比べ、導電率が低く、高い電圧で動作するため、容量が制限されます。
- 合金アノード
合金アノードは、リチウムと合金を形成することができる金属またはそれらの酸化物(Si、Ge、Sn、Sb、Si/Sn酸化物)です。
シリコンはグラファイトよりも理論容量が極めて大きく、最大で10倍になる可能性があります。しかし、シリコンはサイクル中に大きく体積が膨張し、機械的故障やサイクル寿命の短縮につながるおそれがあります。これらの問題を軽減するシリコン複合材の開発が進められており、すでに商品化されているものもあります。
- 変換型アノード
変換型アノードはMX (M = Fe、CO、Mn、Ni、Cu、Cr、Moで、X = O、P、S、N)であり、充電時に(Liy X + M)に変換されます。これらの材料は、固有の電気化学的特性を利用し、速度性能が改善される利点がある可能性があるので研究されています。問題点は電圧ヒステリシスと体積膨張が大きいことです。
- ナノ構造アノード
最近では、表面積を拡大し、リチウムイオンの拡散経路を減少させるナノ構造アノード材料について、集中的に進歩が見られます。炭素系材料、シリコン、遷移金属のさまざまな組み合わせが含まれ、容量やサイクル安定性のような性能指標を改善するためにコアシェル粒子または複合材として設計されています。
電池のアノード材料の特性評価方法
アノード材料の品質は、次のパラメータを測定/制御することで最適化できます。
- 粒子径および粒子形状
- 結晶構造と欠陥
- 不純物
これらの制御方法の詳細については、以下をご覧ください。
粒子径および粒子形状
レーザー回折式粒子径分布測定装置 マスターサイザー製品
納入実績1万台以上 レーザー回折式グローバルスタンダード
Mastersizer 3000
信頼できる成果を得るために必要なデータを提供。
レーザ回折式粒子径分布測定装置のMastersizerシリーズは、迅速で正確な粒子径分布を提供することを標準としています。Mastersizer 3000+は、幅広い測定範囲とクラス最高レベルの精度を備えており、0.01~3500マイクロメートルのアノード粒子径分布測定に必要なツールです。試料で想定外の結果が得られた場合、詳細な調査のためにSize Sureとデータガイダンスツールがあります。Mastersizerに、柔軟性、使いやすさ、ダイナミックイメージング用Hydro Insightアクセサリを組み込むことで、粒子径測定やそれ以上の用途に最高の選択肢となります。
粒子径および粒子形状ソリューションの詳細
粒子径および粒子形状リソース

Battery manufacturing: Reliable, adaptable particle sizing using the Mastersizer 3000+

The impact of electrode particle size and shape on battery slurry viscosity
結晶相
結晶相の品質も、固有のエネルギー、放電率、容量のような電池材料の性能を左右する重要なパラメータの1つです。電池のアノード材料の場合、グラファイト材料の黒鉛化度、配向性指数、結晶の大きさが重要なパラメータです。結晶の大きさから、シリコンベースのアノードのようなナノ結晶の活性材料の粒子径についてのアイデアを得ることができます。

コンパクトX線回折装置 Aeris
卓上型のX線回折装置(XRD)
Aeris XRD
未来はコンパクトに。
Aeris XRDでは、アノード材料とカソード材料をわずか数分で分析し、結晶の大きさ、黒鉛化度、配向性指数などの品質パラメータを得ることができます。産業用の堅牢性と安全性を備えたコンパクトなプラグ&プレイXRDシステム。さらに、ベルトやロボットの自動化により、プロセスに簡単に統合できます。
結晶相リソース
元素組成
アノード材料の場合、性能を評価するために、ドーパント濃度と不純物濃度の測定が重要になります。C-Siアノードであれば、Siの相対濃度により容量と安定性が決まります。
ICPは元素組成を測定する一般的な方法ですが、高価で時間がかかり、有害な化学物質が含まれます。XRFでは、これらの物質の多くを比較的容易に分析できます。

卓上蛍光X線分析装置 Revontium
コンパクトで高機能、強力な分析、無限の可能性
Revontium
コンパクトで高機能、強力な分析、無限の可能性。
Revontium™はコンパクトな蛍光X線(XRF)分析装置で、コンパクトな卓上形式で高品質の元素分析を可能にします。床置き型XRFの性能と卓上型装置の汎用性を兼備しています。
コンパクトXRFは、物理的な接地面積を小さくし、環境負荷を低減します。必要な消耗品、広範なサンプル調製、およびメンテナンスを削減し、所有コストを25%以上軽減します。
元素組成ソリューションの詳細
元素組成リソース
