X線は材料内の電子によって散乱されます。測定されたすべての散乱波の干渉パターンから、与えられたサンプルのナノスケールや原子レベルでの秩序と無秩序に関する情報を推定できます。周期構造を持つ材料からは離散Bragg散乱が観測されるのに対し、不規則系材料では散漫散乱が優勢になります。
Malvern Panalyticalの装置は、柔軟性の高いX線散乱技法を各種備えており、幅広い散乱ベクトルに対応して多量の材料も薄膜材料も同じように分析できます。
SAXS は、幅広いサンプルタイプ(液体、粉末、固体、ゲル、...)でナノスケールの構造や寸法を分析するための最も多用途なツールに数えられています。サンプルは非晶質でも結晶でも準結晶でもかまいません。
SAXSを用いて調べられる典型的なサンプルには、コロイド分散系、界面活性剤、ポリマー、バイオ高分子、膜、ナノ複合体、ナノ粉末、多孔質材料などがあります。非等方性ナノスケール構造の配向性は、2D SAXSパターンを測定して調べることができます。
希釈タンパク質溶液に用いられる小角X線散乱法が、構造生物学技法として受け入れられ、急速に成長しています。この技法からは、タンパク質全体のサイズと形状、フォールディングとアンフォールディング、凝集の挙動、安定性、分子量などの情報が得られます。
測定は、自然に近い状態において、タンパク質濃度、pH、イオン強度、温度などのバリエーション下で実施できます。
SAXSでは、低分解能の分子形状エンベロープ再構成もでき、単結晶のXRDまたはNMRから得られる情報を相補うような情報がもたらされます。
数百ナノメートルというサイズ範囲の粒子や構造的特徴を含むサンプルの特性を評価するのに、従来のSAXS設定の分解能では不十分です。
超小角分解能は、高分解能の光学系をベースとした実験設定を用いることで達成できます。
広角で測定された散乱パターンに基づくことで、与えられたサンプルに存在する結晶相を特定し定量化したり、ナノ結晶のサイズを推定したりできます。
ポリマーなどの非等方性構造に見られる結晶格子の配向性は、2D WAXSパターンから推定できます。
全散乱では、硬放射線と極めて高い2シータ角までのディテクタスキャンを使用して、散乱データを可能な限り高い散乱ベクトルまで取得します。
推定された原子対相関関数(PDF)から、ナノ結晶材料や不規則系材料の短距離原子秩序を推定できます。
GISAXS(斜入射小角X線散乱)は 、薄膜のナノ構造を調べるために用いられます。表面感度は、斜入射ビームジオメトリを使用することで得られます。
測定されたX線反射プロファイルから、層状の薄膜の厚さ、界面や表面の粗さ、電子密度を特定できます。
USAXSをSAXS/WAXSやPDF測定と組み合わせることで、サブオングストロームからミクロンまでのBragg面間隔に対応して、複数の長さスケールでの階層構造の特性を評価できます。
Empyrean Nanoエディション多目的X線散乱プラットフォーム |
Empyrean(エンピリアン)多目的X線回折装置 |
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技術 | ||
XRD分析 |