Mastersizer 3000+のデータクオリティガイダンス:試料測定に関して測定条件決めを支援

レーザー回折装置において、専門家がいて、問題が発生したときには、それを特定し、解決方法について提案してくれる人がいるように、Mastersizer3000+には、データクオリティガイダンス(データ品質ガイド)機能があります。データクオリティガイダンスは、Mastersizer 3000+のPROモデルおよびULTRAモデルに標準で付属するソフトウェアモジュールで、これを利用することで、レーザー回折に不慣れな方でも、自信を持って作業することができます。

レーザー回折装置において、専門家がいて、問題が発生したときには、それを特定し、解決方法について提案してくれる人がいるように、Mastersizer3000+には、データクオリティガイダンス機能があります。データクオリティガイダンスは、Mastersizer 3000+のPROモデルおよびULTRAモデルに標準で付属するソフトウェアモジュールで、これを利用することで、レーザー回折に不慣れな方でも、自信を持って作業することができます。

低品質のデータのトラブルシューティング

レーザー回折は、粒子径を決定するための有力で非常に普及している技術です。しかし、どのような機器を使用していても、データの品質が望まれる基準を完全に満たしていないという問題が起こることがあります。

たとえば、再現性が悪い、データの適合性が悪い、バックグラウンドが不安定であるなどの可能性があります。これらの問題は、その原因として、予期しない試料の凝集から試料の汚染まで、さまざまなことが考えられます。

レーザー回折にに精通していない限り、問題の原因を特定するのに時間がかかったり、仕事を一時停止して同僚を探して、教えてもらったりすることになる可能性が高いです。あるいは、手遅れになるまで何かがおかしいことにさえ気づかない可能性もあります。

このような場合、もちろん、当社の技術チームに、いつでもご連絡頂いて結構です。しかし、日常的な問題の場合は、外部の助けを借りずに迅速に解決したいと思うでしょう。このような場合、新搭載のデータクオリティガイダンス機能が役に立ちます。

データクオリティガイダンスは、Malvern PanalyticalのMastersizer 3000ですでに搭載されていますが、新しいMastersizer 3000+では、バックグラウンドの実行からデータの変動の評価にいたるまで、測定ワークフローのすべてについて即座にフィードバックを提供します。その結果、問題の発見とトラブルシューティングに費やす時間が減り、正確で信頼性の高いデータを、自信を持って扱うことができるようになりました。

Mastersizer 3000+について

2012年の発売以来、Mastersizer 3000レーザー回折システムは、粒子径分布を取得するための高性能で汎用性が高く、コンパクトな装置として高い評価を得ています。 

Mastersizer 3000は、粉末の流動性と充填性の評価、薬物の溶解速度の評価、食品エマルションの安定性の評価、塗料の光学性能の評価などの用途で、研究開発と製造全体にわたって貴重なツールとなっています。この成功は、ハードウェアとソフトウェアの両方によるものです。長年にわたり、多くの機能とアクセサリに加えて、すべてのMalvern機器に共通の2つのソフトウェアモジュールをリリースしてきました。稼働時間と使用量を最適化するSmart Managerと、コンプライアンスとデータ整合性を確保するOmniTrustです。

2024年3月に発売されたMastersizer 3000+は、これらを継承し、さらに粒子径測定機能を強化し、重要な意思決定に必要な情報を提供する3つのソフトウェア機能が追加されています。

これらの機能に加えて、機器の柔軟性と使いやすさが加わり、Mastersizer 3000 +は粒子径測定に最適な選択肢になります。

これらの各機能の詳細については、上記のリンクをクリックするか、Mastersizer 3000+について弊社にお問い合わせください。

Mastersizer 3000+のデータクオリティガイダンス

データクオリティガイダンスは、測定画面内の別のパネル内にあり、バックグラウンド取得、試料測定、データ変動解析のプロセス全体を通して実行されます。

各段階で、分析パラメータ、散乱データ、結果に関する情報がリアルタイムで結合され、評価されます。次に、機械学習モデルとディープラーニングモデルの組み合わせ、および指定されたしきい値トリガーを使用して、問題を特定し、考えられる原因を判断し(可能性の高いものから低いものまでランク付け)、推奨されるアクションをリスト化します(図1)。

[Figure 1 AN240314-data-quality-guidance.jpg] Figure 1 AN240314-data-quality-guidance.jpg

図1: 一般的な測定画面では、右側に[データクオリティガイダンス]パネルが表示されており、[データの品質]タブ❶からアクセスできます。潜在的な問題❷、原因❸、アクション❹は、バックグラウンド、試料、データ変動性分析に関連するかどうかに応じてフラグが付けられ、グループ化されます。測定画面❺の下部にあるタブは、Malvern Panalytical Webサイトのヘルプページに直接リンクしています。

では、ソフトウェアは何を監視しているのでしょうか。以下はいくつかの例です。

  • 直前に測定したの試料の付着物 – 一部の種類の粒子は分散ユニットの壁に付着する可能性があるため、念入りに洗浄したとしても除去するのが難しい場合があります。データクオリティガイダンスでは、これを見つけて表示することで、注意を払うことができます。
  • 負の散乱光強度データ – バックグラウンドの品質が低いことを示している可能性があり、瞬間または連続して散乱光強度値がしきい値を下回ると、データクオリティガイダンスによって警告が表示されます。
  • 光路の汚れ – セルウィンドウや光学系保護ウィンドウが汚れていると、レーザーの位置不良が発生し、バックグラウンド信号が不安定化する可能性があります。
  • 分散媒の不均一性 – 有機溶媒などの場合、分散媒の温度が平衡化していないことが原因で、散乱信号が大きく変動する可能性があります。
  • 最適でない散乱光強度 – 散乱光強度が低い場合は、試料の濃度が低いことが原因で、信号対ノイズ比が低下し、代表的な粒子径分布を生成できない可能性があります。一方、散乱強度が高い場合は、試料が濃すぎて、多重散乱が発生して真の信号が得られなくなっていることを示します。
  • 気泡 – 気泡は、主に界面活性剤を使用するときに発生し、測定に影響を与える「一時的な」信号を生じます。ソフトウェアはこれらを認識し、補正処理を行います。
  • 光学モデルチェック – ソフトウェアは、使用される光学モデル(Mie理論またはFraunhofer 近似)が、決定された粒子径範囲に適しているかどうかをチェックします。 
  • 不十分なデータフィット – Mie理論を使用する場合、粒子径分布の計算に使用される光学モデルの適合度を残差に基づいて評価できます。データクオリティガイダンスは、適合度が低い場合に、どのようなアクションを実行できるかを示します(光学特性最適化ツールで屈折率の選択をアシストできます)。
  • サンプルの安定性が悪い – 測定中に粒子が凝集したり分散したりすることが原因である可能性があります。結果の安定性は、(a) ISO (体積分布の10、50、および90パーセント径)、(b) USP標準、(c)ユーザー定義の%RSD設定の推奨事項と比較してチェックされます。いずれの場合も、範囲外の値となると警告が表示されます。

重要なのは、データクオリティガイダンスが問題を特定し、すぐにフィードバックを提供することです。そのため、データの取得中にメッセージを表示できるため、問題が見つかったらすぐに対処できるようになります。分析の最後には、各測定の概要も解釈しやすいレポートに含まれ、必要なときに表示できるように保存されます(図2)。 

[Figure 2 AN240314-data-quality-guidance.jpg] Figure 2 AN240314-data-quality-guidance.jpg

図2: [レポート]タブから取得した、3つのサンプルのデータ品質評価。図に示されているように、サンプルとバックグラウンドの品質は個々に評価され、合格/不合格でフィルタリングできるため、レコードを1つずつ確認する必要がありません。

データクオリティガイダンスは、Mastersizer 3000+で利用可能なSize Sureソフトウェア機能も補完します。これにより、「一時的な」信号を個別に検出してレポートし、不正な粗い粒子、気泡、その他の予期しないアーティファクトによって分析スケジュールが狂うことを防ぎます。

結論

データクオリティガイダンスは、アカデミア、産業、研究、品質管理、レーザー回折の経験者か初心者かを問わず、レーザー回折を使用するすべての方にメリットをもたらします。

データクオリティガイダンスは、測定サイクル全体を通してデータをレビューし、アドバイスを提供することで、次のことに対応できます。

  • 適切なタイミングで、十分な情報に基づいた独自の決断ができるようサポートします。
  • 繰り返し測定の必要性を低減し、時間、試薬、リソースを節約 
  • より正確な結果を得るのに貢献
  • 確信が持てない場合には、セカンドオピニオンを提供
  • レーザー回折法の実行を習熟できるようになります

データクオリティガイダンスについて詳しくお知りになりたい方は、お電話いただくか、データクオリティガイダンスに関するウェビナーにご参加ください。

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